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■見当識ってなに?

脳活バランサーCogEvoの中でも、認知機能の5つのうちの1つとして「見当識」を挙げています。

見当識とは、「現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握している力」です。
つまり、『今日が何年何月何日で、今が何時ごろで、ここはどこなのか』という事がわかる、という能力です。見当識は、日時曜日、場所、人と関係に関して把握する力です。

※脳活バランサーCogEvoの「見当識」タスクでは、見当識の概念のなかから「日時」に注目し、一昨日から明後日までの範囲で確認しています。

「日時や場所なんて、わかるのが当たり前じゃないか?」と思われるかもしれません。
しかし、とっさに日にちを聞かれて「あれ?今日、何日だっけ?」と思ったり、勘違いしていて曜日を間違えてゴミを出し忘れそうになったことは、誰にでも経験があることではないでしょうか。夏休みになると、毎日が日曜日のようになってしまい、曜日が分かりにくくなったこともあるかもしれませんね。一方で、「今日は、毎週楽しみにしているドラマがある月曜日だな」と思ったり、日曜日の夜は国民的アニメを見るのが恒例になっていたり・・・。私たちは、日々の生活の中の出来事で、その日その時の情報を更新しているように思います。

見当識が低下する(見当識障害)ことは、さまざまな要因で考えられます。認知症による認知機能の低下でも、見当識障害は起こります。

 

■見当識が低下すると・・・

見当識が低下すると、日常生活の中でいろいろと困りごとが起こると予想されます。以下に例を挙げます。

 

【日時・曜日の見当識の低下】

曜日がわからずゴミが出せない

通院の日や、集会の日などがわからなくなり、正しく参加できない

お薬の管理ができず、薬が正しく飲めない

お薬カレンダーを使っているが、正しく飲めない

生活のリズムが狂ったり、食事が不規則になり栄養過多・不足になる

 

【時間の見当識の大幅な低下】

朝夕の区別がつきにくくなり、深夜や早朝に出かけようとするなど不適切なタイミングでの行動する

 

【場所の見当識の低下】

自宅を自分の家だとわからなくなり、自分の家に帰ろうと出ていってしまう

病院や施設にいることがわからず、不適切なふるまいになってしまう

場所を勘違いした状態になり、そこから行動すると道に迷う

 

【季節の見当識の低下】

季節に応じた衣類を選べない

季節や気候に応じた、環境調整、空調などができない

 

【人の見当識の低下】

人がわからず、適切な関係が保てない

娘を、自分の母親だと言い、そのようにふるまう

 

これらはごく一例ですが、見当識が障害されると、このような状態になる可能性があります。特に、通院や服薬などは、健康や命にかかわります。もしも、お薬をこれまで几帳面に管理し飲めていた人が、飲み残したり足らない状態になっているようであれば、ケアマネージャーさんや、主治医の先生、薬剤師さんに相談してみることも必要です。

 

■見当識が低下している状態を支援するには

支援の際には、見当識の低下に限らず、アセスメントを正しく細やかに行うことが大切です。

見当識の場合、よく「見当識の低下がみられます」という一言で、専門職の間では情報が共有されることもありますが、見当識事態には、「日時・場所・人」などの複数の要素があります。そして、それらの要素は、一斉に一様に低下するのではなく、人によってさまざまなです。そのあたりをしっかりと確認する必要があります。

 

【見当識の状態のアセスメント】

  1. 時間・日にち・年・季節・場所(市町、住所、建物種別のどの程度まで把握できているか)・人(親子・親族・知人・関係者などどのあたりまで把握できているか)を確認する。
  2. 時間や日にちが分からない場合、時計やカレンダーなどを見て確認することができるか、確認する手段を思いつかないかを確認する。
  3. 家の中や身近な場所に、日にちを確認できる道具(日を表示する掛け時計や、腕時計)があるかどうかを確認するとともに、本人から見える場所か、見える大きさ化を確認する。
  4. ゴミ出しや通院、薬の管理について確認するとともに、ご近所さんや友人らに、本人にゴミ出しや外出の声かけを出来る人がいるかどうかを確認する。

ご本人が、見当識のどの概念が低下していて、ご自身でその情報を補う能力がどれほどあり、どんな支援をすれば、これまでと同じように活動や行動が可能なのかを見極めることが大切です。

例えば「見当識の低下でお薬が管理できず、きちんと飲めていない」という方については、お薬カレンダーという方法はよく使われていますが、そもそも日にちをきちんと正しく把握するきっかけがなければ、カレンダーだけあっても、「今日が何日か?」は、わからず、使いこなせません。もし、日にちを表示したデジタル時計を使えるのであれば、お薬カレンダーや予定を書いたカレンダーとともに、デジタル時計を設置すると良いでしょう。もし、時計を見ることも難しそうであれば、自動的に薬がでてくる機械の導入や、支援者がお薬を手渡すことを検討する必要があるかもしれません。お薬の管理方法は薬剤師さんがプロフェッショナルですが、使う手段を決定するための情報は、アセスメントによって得られるものです。正しく細やかなアセスメントが必要であるのは、過不足のない支援を行うために大切です。

アセスメントに詳しくないご家族などの支援者の場合は、是非、ケアマネージャーまたはお住まいの地域の地域包括支援センターにも相談してみましょう。適切なタイミングでの適切な支援は、住み慣れた地域で安心安全な生活を末永く続けていただくために大切です。

 

■見当識を保つために

学校に通ったり、働く世代の人にとっては、月曜日は会議、火曜日は習い事、水曜日は定時退社の日、木曜日は・・・などと、曜日を知るためのいくつものきっかけがあります。おそらく、見当識を意識して曜日を確認する人はあまりいないと思いますが、記憶している昨日や一昨日の出来事、未来の予定などを元に、「今日は5月2日水曜日!」ということを確信しています。

一方、例えば仕事をリタイアし、今までのメリハリのある毎日から、毎日が日曜日のように同じ状態になると、曜日や日にちを思い出し確信するきっかけが減ってしまいます。

見当識をしっかり保つためには、日々、外出したり人に会うなどをして、情報交換をし、会話を楽しみ、心を動かす活動が大切です。そしてこれは、見当識を保つだけでなく、認知機能の低下の防止や認知症の予防にも有効と考えられています。

もっと積極的に認知機能、見当識を保つ力を高めたい!と思われるかたには、その日にあった出来事などをレポート形式で日記にすることをお勧めします。特に、お仕事や活動の機会が少なくなってきた方は、文章でまとめて表現したり、人にわかりやすく伝える工夫をする機会が減ってきます。その日一日や前日、その週に会った出来事をレポートすることは、思い出す力(記憶力)を鍛えるとともに、定期的に書くことで日日を意識するきっかけにもなります。

さぁ、今日からあなたも、「毎週金曜日は、レポート作成の日」

出来上がったレポートは、家族や孫に自慢しましょう!

 

■まとめ

「見当識」という言葉は、認知機能の中でも、一般的にはマイナーだと思います。記憶力、注意力はメジャーだと思いますけどね。しかし、見当識は、日常生活、社会生活を送る上でとても重要です。さまざまなことが、時間でコントロールされていたり、曜日が決まっていたり、現代社会のルールは、日時情報とは切り離せません。

一方で、認知症になると認知機能は全般的に(とはいえ、様々な状態で、ですが)低下します。私たちは加齢とともに身体も頭の機能も低下します。できにくくなることもありますが、できなくなるわけではありません。さまざまな道具を使ったり、生活環境を工夫して、出来ることを活かして、生活を継続していきたいものです。

出来なくなったことに目を向けて皆で困るのではなく、さらにそこから、出来ることを見出し、できない部分を補うテクノロジーや知恵を見つけ、お互い様の気持ちで、これから先も安心安全な地域を作っていきましょう。

脳活バランサーCogEvo、ご本人・ご家族・地域・支援者をつなぐ、認知機能の見える化のためのツールです。「認知機能の見える化」研究所は、皆様の社会生活を応援・支援していきます!

一人でも、できますよ。